「幼児教育・保育無償化」(3)幼稚園の無償化と、隠れ待機児童

幼児教育・保証無償化、幼稚園と認可外保育園の無償化の上限額は3.7万円。保育園よりも低いが、無償化が実施される。


 連載 専業ママのリサーチコラム
(2児のママ[4歳(幼稚園)&1歳]38才 国立大卒 -> 渡仏 -> 帰国 -> 総合職 -> 主婦・自営業)

(1)無償化で実施される内容
(2)認可保育園・認定こども園への人気がますます高まる
(3)幼稚園と、隠れ待機児童
(4)認可外保育園と、無償化のねらい
(5)少子化解消のフランス「大学まですべて無償」
(6)手続きについて



1、幼稚園「3.7万円まで」

ファミリー世帯にとっては気になるニュース、「幼児教育・保育無償化」。
今回は「幼稚園」について、調べてみたいと思います。


 
 

 無償化されるのは保育料のうち2.57~3.7万円までです。「公平性の観点から、認可保育所における【月額保育料の全国平均額 3.7万円】」となりました。

 預かり保育料を含めて3.7万円まで、預かり保育を利用しない場合は、2.57万円までです。
 東京都世田谷区からの書類には「月額2万8500円」と記載がありました。お住まいの地域により、少しずつ金額が異なりますので、詳細は各自治体へお問い合わせ下さい。

 通っている幼稚園での預かり保育の実施時間・実施日数が基準以下(8時間未満、年間200日未満)の場合は、認可外保育園の一時預かりやベビーシッター、ファミリーサポートなどの利用料金を預かり保育代とみなします。(5年後からは、一定の基準を満たす施設・サービスのみ)
 


2、潜在的な待機児童の進路

 
 政府が発表した報告書(2018年5月)の現場のヒアリングでは、保育園よりも幼稚園の授業を受けさせたいために、経済的に少し無理をしてでも幼稚園に行かせようと思う親がいる、という報告があります。(※1)
 
 対面のヒアリングでは、親はそのように幼稚園の「良いと思われる点」を挙げるかもしれません。しかし、もう少し事情は複雑です。
 この報告書全体が、幼稚園についても、あくまで「保育の必要のある家庭のため」となっている点に注目する必要があります。

 0〜2歳で「保育園に落ちた」ため親が退職・休職した家庭や、「3歳児の壁」(※2)で保育園に落ちた家庭などが、他に預け先の選択肢が無くて幼稚園に通わせる予定でいるケースも多い、と見込まれています。そのため保育園と同様に支援が必要なのです。
 「潜在的な待機児童」(「東京新聞」を参照しました)の家庭などです。2018年東京都では「潜在的な待機児童」は「待機児童」の4倍ほどと見込まれています。また、幼稚園を利用していると待機児童にカウントされません。


(※1)上記の内容は「私立幼稚園」に通わせている家庭について述べました。公立幼稚園は、もともと保育料が「数千円」で保護者の経済負担の少ない施設ですが、徐々に閉園して新たに「認定こども園」になるそうです。(移行について世田谷区役所にて確認しました。)

(※2)  0歳〜2歳までのクラスしかない小規模保育園に通っていた子どもが、3歳児クラスが開設されている保育園に転園・進学できず、待機児童になってしまう状況です。一般的に「3歳児の壁」と言われています。


3、幼稚園の無償化への批判


 昔のイメージから、年配の方は「幼稚園利用者は経済的に余裕がある」「保育園は母親が働かなければならない低所得家庭が利用する」という印象を持っていると思います。皆さんがそのような感覚を受け継いでいれば、幼稚園の無償化は必要ないのでは?と感じられるかもしれません。しかし、現在では保育園を利用する家庭のほうが世帯年収が高いのです。2014年の時点で、幼稚園利用者の平均世帯年収は570万円、保育園利用者の平均世帯年収は700万円だそうです。(あんふぁんwebを参照させていただきました。)専門職などの女性が多い都市部に限定すると、さらに差が開くのではないでしょうか。
 

 幼稚園の「預かり保育・延長保育」が保育園並みに充実している園は実はあまりありません。幼稚園に行かせながらできる職種は、融通が効く仕事のみとなり、働き方が限られてきます。日本で幼稚園に行かせながらフルタイムの会社員として働くことは、祖父母など「近しくて健康な人」の「積極的な協力」が無い限り、難しいでしょう。たとえ一部の富裕層への無償化が同時進行になるとしても「働きたくても働けない」家庭への支援は(保育園との公平性を考慮すると)必要だと感じます。
 


 

 

4、これまでもあった行政からの補助金 

 東京都世田谷区などの場合、認可外保育園利用者に対しても、幼稚園利用者に対しても、以前から補助金が支給されてきました。年収制限があり、基準以下の家庭がそれぞれの年収に応じた補助金を受け取っていました。また、ひとり親世帯、生活保護世帯、第二子・第三子がいる場合は、補助金の額が増える仕組みでした。※子どもの人数は、小学3年生以下の子のみを数える。他の自治体でも、一部ではありますが、このような制度があります。必要なところにだけ支援が行く仕組みで、”効率が良い”と考える人もいます。それが、今回の無償化によって一律に、”世帯年収に関係なく”支給されます。

 筆者は個人的には、このように一律の支給となったほうが、差別感情や自尊心に関係なく だれもが抵抗なく支援を受け取ることができるような気がしますが、この点については賛否両論のようです。
 ただ、このような補助金の制度が全く無かった自治体もありますから、全国的に実施される「無償化」の効果は大きいと言えます。

 

5、さいごに



 幼稚園の「潜在的な待機児童」と、「保育園>幼稚園」となった平均世帯年収、
この2点を考慮して「幼稚園利用者も含めた育児支援」が全国的に強化されたのではないでしょうか。

 実際に幼稚園に通われている家庭では、「預かり保育」の時間帯と日数を確認してみてください。
 

 雑誌DUALによる143自治体への調査によれば、無償化制度が発表されてから「幼稚園よりも認可保育園への希望者がますます増加」しています。

 数年後には確実に、幼稚園をめぐる状況が変化していることでしょう。

 




FP−UNIVのご利用開始はこちらから(無料)