企業型確定拠出年金分析(DC)(プロ)

目次

企業型確定拠出年金(DC)分析機能 (「プロ」プラン以上のみ)

 企業型確定拠出年金(DC)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)をしてくれて、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用をする制度です。運用成績によって、加入者が将来受け取る退職金と年金の額が変動します。この制度を利用するメリットは、税制上の優遇があることです。企業によっては、従業員が掛金を上乗せする「マッチング拠出」の制度や、従業員自身が企業型DCに加入するかどうかを選択できる「選択型DC」を採用している場合もあります。

 

【目次】

1. 企業型確定拠出年金(DC)とは
2. メリットとデメリット
3. マッチング拠出とは
4. 選択型DCとは
5. FP-UNIVのDC分析機能の特徴
6. 入力・設定方法

 

1.「企業型確定拠出年金(DC)」とは

  運用成績が自己責任となるため敬遠する方もいるかもしれませんが、この制度を利用すると税制上の優遇があります。

・70歳の方まで加入できます。
・企業が月々の掛金を拠出してくれ、加入者はDCで使える金融商品を選んで自分で運用します。
・一般的に、会社側が役職などに応じて掛金を決めています。
・企業によっては「マッチング拠出」の制度や選択型DCが採用されています。
・掛金の額には上限額があります。
・従業員は積み立ててきた年金資産を、一時金(退職金)もしくは年金の形式で受け取ります。
・60歳から70歳まで(2022年4月以降は60歳から75歳まで)の間に手続きをして受け取ります。それ以前に引き出すことはできません。

 


2. メリットとデメリット

  税制上の優遇は、次のような内容です。

・運用益が非課税となります。
・受け取る際には、「退職所得控除」や「公的年金等控除」の対象となります。
・マッチング拠出による掛金は、全額所得控除となり、所得税・住民税が軽減されます。

 このようにメリットがあるDC制度ですが、選択型DCでは給与が減る分の厚生年金が減少します。さらに、老後の前に使える資金は減り、家族のライフイベントや生活コストに掛けられる金額が減ります。DC掛金と給与のどちらがご自身にとってより良い判断なのか、バランスの見極めが必要です。
 

3.「マッチング拠出」とは

 企業の掛金に従業員が掛金を上乗せすることができる制度です。企業によっては採用している場合があります。

投資の欄に拠出が記載されます。
・マッチング拠出の金額には上限が設けられています。会社の掛金との合計で拠出限度額である月額55,000円を超えることはできません。
・事業主分を超えて拠出することはできません。
・掛け金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり、所得税・住民税が軽減されます。
・将来の厚生年金額に影響はありません。

 

4.「選択型DC」とは  

 DCの掛金にするか給与として受け取るかを従業員自身が選べる制度です。企業によってはこの仕組みを採用していることがあります。

給与を減額した上で、DCの掛金を確保します。
・給与が減るため、所得が減り、所得税・住民税が軽減されます。
・給与が減るため、社会保険料が減り、将来受け取る厚生年金も減少します。

 

5. FP-UNIVのDC分析機能の特徴

  FP-UNIVでは、「マッチング拠出」と「選択型DC」の両方についてそれぞれ有無を選択でき、シミュレーションができます。複数の相談者を抱えるFPの方にとって、便利な機能です。個人利用の方の場合も、ご家族全員の勤務状況に合わせて個別に入力できます。

 

6. ライフプラン・シミュレーションでの設定

  入力時は「Q11. 貯蓄・投資」の欄を使用します。手順は、次の通りです。

(1)「掛金の拠出」(積立)の設定
   ↓
(2)「運用」の設定
   ↓
(3)「受取り」の設定
   ↓
(4) シミュレーションの実行


 

(1)【掛金の拠出(積立)の設定】

  まずは「掛金の拠出」の設定を入力します。「Q11. 貯蓄・投資」のタブをご覧ください。



  「加入する」を選んで「開く」をクリックすると、次のような画面が表示されます。
 



・基準年の「月」と拠出残高を「当初残高」の欄に記入します。初期設定は「0万円」です。

・拠出の期間を入力します。年齢と月を選択します。

・月額の掛金の事業主分と追加分(マッチング拠出または選択型の分)を入力します。
・拠出割合を入力してください。


※「掛金」の上限は自動制御されています。
※ iDeCoやDBと併用の場合も掛金の上限はありますが、FP-UNIVでは未対応のため自動制御されません。ご注意ください。(2021年4月時点)

 

(2)【「運用」の設定】

  次に、運用について設定します。

・掛金の割合を入力
 「掛金」を「どの投資信託に何%ずつ割り振るか」を指定することができます。全ての投信の合計が100%となるように入力します。投信が1つだけの場合は「100%」と入力します。

・投資信託を選択
 投資信託の商品は、あらかじめ設定した「有価証券リスト」の中から選びます。まだ設定していない場合は、それぞれの投資信託について「運用益」「単価の上昇率」「信託報酬」を設定します。手順をご紹介しますので、ご参照ください。



投資信託の追加方法と手順

  「投資信託選択」をクリックして、運用の設定を行います。


  クリックすると、下記のような画面になります。右上の「追加」(赤色)をクリックして必要事項を入力します。





 「追加」をクリックすると、右側に「編集フォーム」が表示されます。投資信託の銘柄と、その他の基本情報を入力します。




 次に、選びたい銘柄のチェック欄を選択してください。選択すると、次のような画面になります。





※ 運用は、75歳まで可能です。

※ シミュレーションの自動計算の結果には、企業型確定拠出年金の「非課税部分」が加味されています。

 

(3)【「受取り」の設定】

  「受給開始年齢」は、60~75歳の中から選んで指定できます。DCの受取方法には、60歳以降にまとめて一括で受け取る「一時金」と、分割で受け取る「年金」の方法があります。「一時金のみ」、「年金のみ」、「一時金+年金」の3つのパターンから選ぶことができます。「年金」は、回数に応じて均等に分けて受給される仕組みです。FP-UNIVではその通りに選択・入力できるようになっています。


受給設定の画面

 


※企業型確定拠出年金(DC)には、60歳より前に死亡した場合や重度の障害が残った場合に遺族や家族が代わりに受け取る制度がありますが、FP-UNIVでは未対応となっております。「万が一モード」をご利用される際にはご注意下さい。

 

(4)【シミュレーションの実行】

  入力が終わったら、シミュレーションを実行してみましょう。
どのぐらいの節税効果があるか、掛金拠出のキャッシュフローに問題が無いか、確認することができます。

 企業型確定拠出年金(DC)には以下のような節税効果があり、FP-UNIVではこれらは自動計算されます。

・マッチング拠出による掛金は「所得控除」の対象で、所得税・住民税が節税できます。
・運用で得た定期預金利息と投資信託運用益が「非課税」となります。

・受取額は、「公的年金等控除」と「退職所得控除」の対象です。



シミュレーションの実行結果の例

 企業型確定拠出年金(DC)を利用する「効果=運用益」が確認できます。



キャッシュフュロー表・グラフ

一時金は、退職金として表示、年金受け取りは年金として表示します。